第43章 あなたと交わった夜
「なァ、おれと一緒に……親父のとこ、行かねェか?」
「……え?」
エースはミーウの首から顔を上げて、彼女と目を合わせた。
「おれは……ずっとお前と一緒にいてェ。白ひげ海賊団の一員になれば、ずっと側にいられる」
「……」
「親父は誰も拒まねェ。頼めば、おれと同じ2番隊の隊員になれる。お前の仲間も、もちろん一緒だ。だから……」
「エース」
真剣に頼み込むエースにミーウは困ったように笑った。
「ごめん。それは……できない」
「……」
「約束したの……少し前に……」
ミーウは首に掛けられたビブルカードを握り締めた。
ーーキッドを倒して〈ひとつなぎの大秘宝〉を手に入れる!
ーー足手まといって言ったことを後悔させてやるから!
ーー楽しみにしてるぜ。ミーウ。
「……そうか……」
エースは少し寂しそうに笑った。
「じゃあ……」
結ばれていないミーウの長くて黒い髪の毛を手に取り、自分の口元に持っていく。そして、髪の毛に口付けをした。
「今日だけ……おれにお前の心をくれねェか?」
「え……」
2人の黒い髪の毛が海風に靡いて揺れる。
「エース、それってどういう……」