第42章 知られたくなかったこと
「……はァ?」
エースは目をまばたかせた。
「何言ってんだ。海賊王は悪い奴だって聞かなかったのか?」
「いいえ?」
ミーウは首を横に振った。
「確かに、“正義”の仮面を被っている海軍はG・ロジャーのことを悪者扱いするわ。海賊のことも。でも……」
ミーウはにこりと笑った。
「海軍が“善”で、海賊が“悪”だなんて……誰が決めたの?」
ーそんなもの、いくらでも塗り替えられてきた。
「海軍の中にも、その権力を盾にして一般人に危害を加えてる人たちもいる。海賊の中にだって、一般人を守る人もいる」
クスリと笑った。
「あなたの船長がそうじゃない」
「……」
「だから、世間がどれだけG・ロジャーが“悪”だと言っても……そんなの本当に悪い人だったかなんて、誰も分からない。本当はいい人だった可能性だってあるのに」
ー噂話なんて、当てにならないのだ。実際に自分の目で見なければ、本当のことは見えて来ない。
「少なくとも、わたしは悪い人だなんて思わない」
ーこの時代を作った偉大な人。そう思っている。
「……」
「エースがG・ロジャーの息子だとしても、生まれて来たことを悪いことだなんて思わない」
ー例え、世界が全員そのことを“悪”だと唱えても……。