第42章 知られたくなかったこと
エースはニカッと笑った。
「ミーウはそんなことする奴らと一緒じゃねェよ」
「……」
ミーウはショールをギュッと握り締めた。
(今まで……)
ーそんな風に言ってくれる人はいなかった。自分のことを知っている人たちはみんな、そのことを話すと黙ってしまう。わたしは天竜人と同じで、生まれたときから“罪”を背負っていることを否定しないのだ。それが真実だから……。
涙が流れる。
「……」
「……それに、おれもミーウと同じだ」
エースはスッと真顔になった。
「え?」
ミーウは顔を上げた。
「おれは……」
ーー目を閉じて、昔言われた言葉を思い出す。
「……G・ロジャーの……息子だ」
「……え?」
ミーウとアユナとミシュラは目を点にした。
「えーーー!!!」
2人と1匹は口を開けて叫んだ。
「あ、あの……」
「G・ロジャーの……」
「息子……?」
「……あァ」
エースは嫌そうな顔をして言った。
「あいつのせいで、今の大海賊時代ができた」
ーおれの財宝か? 欲しけりゃくれてやる……探せ! この世のすべてをそこに置いてきた。
「そのせいで、海賊という“悪”が世界各国に出現し、物を盗んだり、人を殺したりした……」
ミーウたちは黙って、エースの話を聞いている。
「一般人にとっては迷惑な話だった。そんな奴らに、おれは聞いた」
ーもし、海賊王に子どもがいたら……どうする?
ーG・ロジャーに子ども?
ーそんな奴、鬼の子だ。
ーロジャーの子どもなんて、生きてちゃいけない。
ー死刑だな。
ー幼い頃に言われた言葉の数々。今思い出しても、拳が震える。
「おれは……」
「ねェ」
ミーウはエースの言葉を遮った。
「どうして……海賊王が悪い人なの?」