第42章 知られたくなかったこと
「おばあ様も……それで殺されたの……」
ーー炎が吹き荒れるあの日、ミーウの目の前でシェルミーは自分の大事な孫を庇って腹を貫かれた。その後に聞いた、あの言葉……。
「わたしたちが生きていることを良しと思わない奴は……多いの……」
ーお前らは生まれてきてはいけないんだ。生きていてはいけないんだ。
ーー呪詛のように脳と耳にこびり付いた声と言葉。
「わたしは……生きていては、いけないの……」
ミーウは俯いて、消え入りそうな声で言った。
「天竜人なんて、生きていても……誰も喜ばない。この世から消えた方がいいに決まっている……」
ー今すぐにでも、奴らを全員殺して奴隷になってしまった人たちを解放したい……。だが……。
「でも……わたしは人を殺してはいけない……」
ーー理を犯したら、その身には一生消えない血濡れの咎を負うことになる。
「……今も、天竜人の奴隷になって……辛い思いをしている人がたくさんいるのに……わたしは、何もできない……」
ミーウは耐え切れなくなり、自らの顔を手で顔を覆った。
「……」
エースは何も言わず、ただ黙って話を聞いていた。
「……天竜人を辞めることは……できねェのか?」