第42章 知られたくなかったこと
ーー20人もの人間が行動を共にするにあたり、さすがに誰かが引っ張って行かなくてはとてもじゃないがまとまらなかった。
「それが基盤となって、わたしたちは“伝説の天竜人”と言われている。でも……」
ミーウは自分の手のひらを見つめた。
「わたしの先祖は……呪いをかけた魔女だけじゃなく、たくさんの人を手にかけた」
ミーウは膝の上に置いていた〈紅桜〉を再び手に取った。
「その時に、この〈紅桜〉は妖刀と成り果てた。たくさんの人を斬り、たくさんの返り血を浴びて……人の血を吸わないと満足できなくなってしまったの」
〈紅桜〉を握り締め、ミーウはエースを見た。
「それを見て、魔女はこのアザの他に……2つ目の呪いをかけた」
ーー人を斬り、返り血をたくさん浴びたミーウの先祖を見て、魔女はその姿を鼻で笑ったと言う。
「生まれてくる子どもは全員女で、血と同じ紅い瞳を宿している、と」
声が震える。〈紅桜〉を氷の台に置いた。
「その呪いの通り、その先祖の子どもからは紅い瞳をした女の子どもしか生まれていないの……」
握り締めた拳が震える。
「その時代は……男でなければ、王位を譲ることができなかった……」
瞳が揺れた。
「そして……この、瞳の色は……」
涙が溢れてくる。
「血の……色なの……」
ーー生涯、消えることがない罪業の証。たくさんの人を殺した先祖の末裔という称号……。