第42章 知られたくなかったこと
ーー初めて、その光景を目の当たりにした時のことを思い出し、ミーウは苦虫を噛み潰したような顔をして、拳を握り締めた。
「あんな! あんなことをしている奴らと……わたしは同じ血が流れてる、の……」
ミーウは血が滲むくらい、下唇を噛み締めた。
「人を人とも思わないような『教育』によって……世界中の全ての地域で、傍若無人の限りを尽くす、極悪非道を当たり前のように行う外道と……」
ミーウはアザの上に手を置いて、肩を震わせた。
「同じなのよ……」
「……」
エースは黙ったまま、ミーウを見つめた。
「……ミーウ」
アユナはそっとミーウの隣に座って背中をさすりながら、ショールを肩から掛けてアザが見えないようにした。
「……ありがとう、アユナ」
ミーウは顔を上げて、アユナを見た。
アユナは頷いて微笑むだけで、何も言わずにミーウの側にいる。
ミーウは息を吐き出して、エースの方を向いた。
「……この話には、まだ……続きがあるの……」
「……ミーウ」
アユナは心配そうにミーウに名前を呼んだ。
「辛いなら……もう……」
「大丈夫」
ミーウは涙で濡れた顔をアユナに向けた。
「大丈夫だから」
「……」
アユナはミーウの意思を尊重して、その場から離れた。
「……わたしの先祖は……その連合国をまとめていたリーダー的な存在だった」