第42章 知られたくなかったこと
「“罪”?」
エースは眉間に皺を寄せた。
「……今の……天竜人のことよ」
ミーウは唇を噛み締めた。
「世界各国から自分達の為の『天上金』を徴収させて、酷い場合には加盟国を飢餓で滅ぼしたり、何の罪もない普通の人たちを殺したり、人間を奴隷にして飼っていたり……その全てが“罪”……」
ミーウは紅い瞳に溜まった涙を流さないように堪えている。
「その魔女には未来が見えていたのよ。遠い未来、当時の連合国の王の子孫たちがそうなることを……」
ミーウは忌々しい天竜人の証であるアザを握り締めた。
「天竜人は嫌われている……憎まれている……恨まれている」
ー全ての人類に……。
「わたしは……そんなあいつらと……同じなの……」
堪えていたミーウの頬を涙が流れる。
「あいつらは……『下々民と同じ空気を吸いたくない』とかいう馬鹿げた考えで生活してるの。だから、マリージョア以外の場所に行く時は必ず、シャボンのマスクを付けて、宇宙人みたいな恰好をしているのよ」
ー初めて見た時は、驚愕した。ーーミーウは一般人とほとんど変わらない生活を送っていたので、どうしてあのような格好をしているのか訳がわからなかったのだ。
「それに、あいつらが道を通る時には、他の人は無理矢理、土下座をしなきゃいけない……」