第42章 知られたくなかったこと
ミシュラはエースの横を通り、ミーウの座っている氷の台に飛び乗ってミーウのすぐ横で伏せた。
「エース」
座ると同時に、エースはミーウに名前を呼ばれた。
「さっき、バーソロミューたちが言っていたこと……覚えてるよね?」
「……あァ」
ーそいつは……天竜人だよ。
「覚えてる」
「……」
ミーウは自分の体を覆っていたショールをそっと肩から下ろした。そして、左腕以外の場所から外した。
「……800年前に世界政府を創設し、“聖地”マリージョアに移り住んだ19人の王たちの……末裔……」
ーー忌々しい血が脈を打って、体中を流れる。
「それが……天竜人……。そして……」
ミーウは左腕に被せていたショールを取った。
「これが……その、天竜人の証である……“天翔る竜のアザ”……」
左腕の肘の近くにある、紅い拳ほどの大きさのアザをエースに見せた。
「……」
(“天翔る竜のアザ”)
ー初めて聞いた。ーー自分も結構長い間、航海をしているはずだが……そんな話は白ひげからもマルコからも聞いたことがない。
「……今、誰からも聞いたことがないって思ったでしょ」
「……あァ」
ミーウは目を悲しそうに細めた。
「そりゃそうよ。あいつらにはないもの」
「ない?」
「ええ」