第42章 知られたくなかったこと
アユナは船の中へ入ると、真っ先にミーウの部屋に向かった。ミシュラがミーウを抱えたエースを先に案内しているはずだ。
(早く……治さないと……)
ミーウの部屋の前に着くと、ノックもせずに扉を開けた。
「アユナ……」
部屋に入ると、床に置いてある大きなクッションにエースがもたれていた。その彼の腕の中にミーウはいた。ミーウのすぐ近くには、心配そうな顔をして彼女に体をぴったりとくっつけているミシュラがいる。
「ミシュラ」
「ミーウ、ベッドに横にすると……苦しいって言うんだ……」
「……」
アユナはミーウに近付いた。胸の部分に肉球型の窪みがある。
「……」
(肺がやられているのね……)
ー肺を怪我していると、横たわるよりも座っている体勢により近い方が呼吸が楽なのだ。現に、今のミーウはエースに座る形に近い態勢で抱えられている。
「……ハァ……ハァ……」
ミーウは荒く呼吸をしている。
「ミーウ」
(今、助けるよ)
アユナはミーウの体に手をかざした。
「……水浄」
アユナが声を発すると共に、手のひらからミーウの体に向かって水が流れて行く。すると、みるみるうちにミーウの体にあった複数の傷が治っていく。
「……」
ミーウの荒かった呼吸も治った。そして、ゆっくりと瞼を開けた。