第42章 知られたくなかったこと
すっかり日も沈み、暗くなった港町に1人の人影がもう1人を抱き上げて走って来る。
「ミーウ! エース!」
船の甲板で待っていたアユナは叫んだ。
「!? ミーウ!」
街頭に照らされたミーウを見て、アユナは悲痛な叫び声を出した。
エースは走って来た勢いそのままに、船に乗り込む。
「急げ! 今すぐ出航するぞ!」
「今からか!?」
クユンは目を見開いて、エースに聞き返した。
「今すぐだ! 奴らが追ってくる前に!」
「奴ら?」
ケイトは怪訝そうな顔で聞いた。
「話してる暇はねェ! 早く!」
「……わかった!」
クユンは焦った様子のエースとボロボロになっているミーウを見て、出航の準備を始めた。
「みんなも早く! 手伝ってくれ!」
「おう!」
他の船員たちも急いでクユンの手伝いに回る。
「ミーウ!」
アユナはミーウの側に行った。
「ア……ユナ……」
「喋らなくて大丈夫よ。無理しないで」
ミーウは力なく頷いた。
「エース、とりあえず中に」
「あァ」
エースはミーウを抱き上げたまま、船の中へと入って行った。
「アユナ!」
エースと同じく、船の中に入ろうとしたアユナにクユンが声をかけた。