第42章 知られたくなかったこと
ミーウが森の方へ走り去り、太陽が西に傾いている夕方頃、エースは水神海賊団の船へと戻った。
「あ、エース、おかえり」
「おい、エース、お前勝手にどっか行くなよ!」
スレイジはエースの肩を力強く掴んだ。
「悪ィ悪ィ」
「ったく」
スレイジは肩から手を離し、腕組みをした。
「あれ? ミーウはどこ行ったんですか?」
スレイジの後ろからやって来たジウが首を傾げた。
「あァ、なんか先に行ってろって言われて、森の方へ行っちまったんだ」
「森?」
アユナはミーウが走って行った森の方を見つめた。
「!?」
いきなり、アユナの全身を寒気が襲った。訳もわからず、体が震えて座り込む。
「おい、アユナ。大丈夫か?」
ケイトがその様子に気付き、しゃがんでアユナの背中をさすった。
「だ、いじょうぶ……」
言葉ではそう言いつつも、アユナは直感で思った。
(ミーウが危ない……)
ーーアユナの直感は当たることが多かった。7年前のあの日も……。
「……エース」
「何だ?」
アユナは震える体を抱き締めて、エースを見上げた。
「ミーウの様子を……見てきてほしいの」
「アユナ?」
隣にいるケイトが驚いて目を丸めている。
「アユナ、それならおれが……」
「ダメ!」