第42章 知られたくなかったこと
「……この!」
ミーウは〈氷鳥〉でくまに斬りかかろうとした。しかし……。
「……うわっ!?」
くまの肉球に阻まれ、近くの木に背中を打ちつけてしまう。
「……」
(刀で斬りかかるのは……ダメだ)
ミーウは立ち上がり、〈氷鳥〉を鞘に収めた。そして、自分の手を重ねて、くまの方へ向ける。
「氷塊!」
ミーウが叫ぶと同時に、手のひらから氷の塊が出現し、くまの方へと飛んでいく。しかし、くまはそれを肉球で弾き返し、氷の塊がミーウの方へと戻って来た。
「!」
ミーウはそれを避ける。すると、今度は空気の塊が飛んで来た。
「しまっ……」
攻撃をすることばかりに囚われてしまい、次の行動が遅れてしまった。ミーウはもろに空気の塊を喰らった。
「あァー!」
ミーウの悲鳴が森の中に反響する。その場に膝をついて崩れ落ちた。
「……ハァ……ハァ……」
息をするのも絶え絶えで、起き上がろうとしても体が言うことを聞かない。
「……これで……終わりだ」
「……ハァ……」
くまは倒れているミーウに肉球が付いている手のひらを向けた。
ミーウは朦朧とする意識の中で、仲間たちのことを思った。
(みんな……心配してるかな?)