第41章 思い出せない記憶
店の奥に置いてあるロッキングチェアに座っていた老人が立ち上がった。
「写真を撮りに来たんかね?」
「撮ってくれるのか?」
ミーウは驚いて、エースを見上げた。ーーただ単に、少し面白そうで興味があったからこの店を覗こうとしただけだと思っていたので、まさか写真を撮ることになるなんて思いもしなかったのだ。
「ああ、いいよ」
老人はにこやかに笑った。
「あ、あの、おじいさん」
ミーウはチラチラとエースを見ながら、老人に尋ねた。
「その写真の撮影って……いくらしますか?」
ーー先程、エースが山程の食事を食べ、大金を使ったことによって、ミーウの財布の中はあと少しのお金しか残っていなかった。ーーもちろん、船に戻ればそのお金はあるのだが……ミーウが取りに戻っている間に、隣にいるこの男が待てるとは思えなかった。
「うーん、そうじゃな……」
顎髭を撫でながら、老人はミーウとエースを交互に見た。
「お前さんらは……どんな関係だ?」
「え……」
予想外の質問に、ミーウは驚いた。
「どんな関係……」
ーー今日出会って、何故か一緒に島を巡ることになった。不思議な関係。だが……。
(何だか、モヤモヤする……)
ーどうしてなのかわからないが、胸の辺りに雲がかかったような気持ちになった。