第41章 思い出せない記憶
「ご馳走様でした!」
キッチンの方に頭を下げてそう叫ぶと、エースはミーウを抱き上げて走り出した。
「え!? エース!?」
「ミーウ、逃げるぞ! 落ちるなよ!」
「はァ!?」
ミーウはエースの右腕に担ぎ上げられ、振り落とされないようにエースの肩にしっかり掴まっている。
「ちょっと、エース! お金払ってないじゃない!」
「宝払いだよ! ちゃんと後で払うから!」
「宝払いは立派な犯罪よ!?」
そのようなやり取りをしていると、後ろからレストランの人達が追いかけて来た。
「こら! 待てー!」
「うわ!? 来た!」
「当たり前でしょ!?」
エースはそのまま、全速力で街の中を走り抜ける。周りの人たちが何事かと、ミーウとエースの方を見た。
「エース! 降ろして!」
「お前を降ろしたら捕まっちまう!」
「ちゃんとお金払うから!」
その言葉に、エースは急ブレーキをかけて止まった。
「……お金……あるのか……?」
「当たり前でしょ!? なかったら、どうやって生活するのよ!」
ミーウはエースに向かって怒った。
「いつもこんなことしてるの!?」
「……あァ……」
「……」
ミーウは呆れてため息をついた。
「やっと捕まえたぞ!」