第41章 思い出せない記憶
しばらくの間、島中をミーウとエースは歩いていた。
「……」
(綺麗な島……)
ーー島の周りは海で囲まれている。その海の光が白い壁に反射してキラキラと輝いている。まるで、お伽話に出てくる街の風景のような、綺麗な街並み。それに、活気に満ちた人々の笑い声。
「あ……」
船を止めた港町から、島を半周したところには灯台が建てられていた。その先には森が広がっている。
「……」
ふと、ミーウの脳裏に“竜国島”のことが思い浮かんだ。ーーお城を抜け出して、4人で遊んだ日々。クザンに特訓を受けた日々。
「なァ、ミーウ」
昔のことを思い出していると、エースが声をかけた。
「……覚えてねェか? ゴア王国のコルボ山のこと……」
「ゴア王国?」
ー聞いたことがある。確か、東の海で最も美しい国と言われている。でも、おばあ様は嫌っていた気が……。
「ミーウ?」
エースの声にミーウはハッとした。彼はミーウの瞳を真剣に見てくる。
「……ごめんなさい……」
ーそれでも、やっぱり彼のことを思い出せないでいた。
「……そうか……」
彼は寂しそうに目を細めた。
ミーウは下唇を噛んだ。ーー誰かに忘れられることほど、辛いことはない。