第40章 突然現れた炎の男
「……」
ー久しぶり……?
「ミーウ、どういうことだ? “火拳”と会ったことがあるのか……?」
「……」
ミーウは何も答えず、ただ目の前に座って肉を食べ続けている男を見つめた。
(会ったことが……ある?)
ー一体、どこで? そんな記憶は欠片もないが……。
「なんだよ、覚えてないのか? あれは確か、おれが……グー……」
「寝た!?」
エースは喋り始めたかと思ったら、眠ってしまった。
「え、え、どういうこと?」
「食事中に寝るなんて……」
水神海賊団の船員たちは皆、口をあんぐり開けて驚いている。
「……」
ーーただ1人、アユナを除いて……。アユナは目を細めて、口を横にキュッと結んだ。
「ちょっと、起きなさいよ! いきなり寝ないでよ!」
ミーウは刀を鞘に収めて、エースのところ行き、彼の肩を揺すった。
「ふがっ!?」
エースは目を覚ました。
「あれ? おれは……」
「もう! 覚えてないの? 話してる途中でいきなり寝ちゃったのよ?」
「そうなのか?」
ミーウは呆れてため息をついた。
「それで? 話の続きは?」
「話? えっと……」
エースは肉を持っていない方の手で頭を掻いた。
「悪ィ、忘れちまった」
「……そう……」