第40章 突然現れた炎の男
「……」
(気付かなかった……)
ミーウはにこやかに言う彼に未だに刀を構えている。
ーーミーウは“見聞色”の覇気を身に付けている。いくら仲間との宴の席で気を抜いていたからとしても、仲間でない人間が勝手に乗り込んでいて気付かないということは有り得なかった。ーーそれはアユナとケイトもそうだった。
「……あなた、名前は?」
「おれか? おれはポートガス・D・エース」
「ポートガス・D・エース……」
ミーウは目を細めた。
(どこかで聞いたことがあるような……)
それは他の船員たちも思っていたことだった。
ケイトはふと、彼の体を見た。
「! ミーウ! こいつ、白ひげ海賊団の2番隊隊長“火拳”のエースだ!」
「!?」
(白ひげ海賊団……)
ーー彼の左肩にはSに✕印が重ねられている「ASCE」の文字列を、背中には白ひげ海賊団のシンボルの刺青が彫られていた。
「……」
ーどうして気付かなかったのだろうか。四皇の部下がこのようなところにいるはずがないと思っていたから……? ーーここは〈偉大なる航路〉、どこに誰がいてもおかしくない。
ミーウは相手の隙を伺っていた。しかし、その相手は様子が少し違っていた。
「お前……ミーウか?」
「え……?」
男はニカッと歯を見せて笑った。
「久しぶりだな」