第40章 突然現れた炎の男
一方、その頃、アユナとショウラは料理の盛り付けに取り掛かっていた。
「ごめんなさい、ショウラ。手伝わせてしまって……」
「別にいい。気にするな」
「でも……」
「いいんだ。ご馳走を1人で作るなんて大変だろ」
「……」
アユナは黙った。ーーショウラの言う通りだったからだ。人数も増え、料理を作ること自体が大変になっていた。
「それに、おれはコックだ。自分の仕事を全うするのが筋だろ」
「……そうね……」
ー彼は自分の仕事とコックとしての腕に誇りを持っている。食事を作るのは自分の役目、そう思っているのだ。それを断るのも悪い。
「ショウラ、ありがとう」
「ああ」
ショウラは短く返事をした。
「……できたぞ。そっちは?」
「こっちもできたわ」
アユナはキャベツやトマトと一緒に盛り付けた唐揚げの皿をショウラに見せた。
「これでいい?」
「ああ」
頷くと、ショウラは自分が盛り付けた皿を持った。
アユナも目の前の皿を持ち上げて、ショウラと共にみんなの元へ行こうと思った。しかし……。
「持つな」
「え?」
ショウラはそれを制した。
「重いだろ。他の男を呼ぶか、おれが運ぶ」
アユナは驚いた。ーーいつも口調が厳しいから勘違いをされることが多いが、実はショウラは心が優しい人だ。