第40章 突然現れた炎の男
「大丈夫よ。これくらい……」
「ダメだ」
ショウラは頑として譲らない。
「……わかったわ」
アユナはショウラに押し負かされて折れた。
「……どうしても運びたいなら……」
少し悲しそうな顔をしたアユナにショウラはとある皿を指差した。
「あれならいい」
その皿はみんなが取りやすいように、いくつかに分けたサラダだった。大きいお皿に入ってるわけでもなく、総重量もそこまで重くはない。
「……」
(やっぱり、ミーウが見込んだだけのことはあるわね……)
ーあの人、絶対いい人だから、仲間にしようよ!
アユナたちが初対面でショウラに対して、厳しい口調からあまりいい印象を持っていなかった時、ミーウはそれは優しさの裏返しだということに気づいていた。
アユナはクスリと笑った。
「……何がおかしい?」
「ふふ、ごめんなさい。ただ……本当に優しい人だなって思っただけよ」
アユナは笑顔でショウラに言った。
「……そんなことはどうでもいいだろ」
少し顔を赤くして、ショウラはお皿を持ち上げた。
「行くぞ」
「あ、うん!」
アユナも急いでサラダが盛り付けられたお皿を持って、ショウラの後をついて行った。
「あ、ショウラ! アユナ!」