第4章 すれ違う心
アユナは大楠に向かって、1人歩いていた。
いつの間にか、キラーの腕の中で眠ってしまったらしい。キラーが上着を掛けてくれたからよかったが、あのままだったら風邪をひいてしまっていたかもしれない。ーーそのようにアユナは思っているが、本当は意図的にキラーがアユナを眠らせたのに、その事にアユナは見事に気付いていない。それに……。
(わたしのバカ! 何で最後の最後までキラーに迷惑かけてるの!)
アユナは自分を責めていた。大好きな人に最後まで迷惑をかけてしまったことを。
(ん?)
「何これ?」
手が冷たくなったので、アユナはキラーの上着のポケットに手を突っ込んだ。すると、中に入っていた何かに手が触れた。彼女はそれを上着の中から出した。
「紙?」
それは1枚の紙だった。丁寧に2つ折りにされていた。ーーキラーがアユナを眠らせた時に入れた物だった。
アユナはその紙を開いた。
「……」
紙には文字が書かれていた。その文字はとても綺麗で端正な字だった。
ーーアユナへ
突然こんな話をすることになってしまってすまない。アユナなら、わかってくれていると思う。おれたちはミーウとアユナに傷付いてほしくないんだ。お前たちのことを足手まといだとも嫌いだとも思っていない。今もこれからも、絶対に思うことはない。約束する。
アユナに手紙を書いたのは、キッドがミーウに事情をちゃんと話さないで海に出ると思ったからだ。キッドのことだ。不器用な奴だから、きっとミーウに素直に話すことができていないと思う。ミーウの誤解を生むのだけはごめんだ。あいつはミーウのことをとても大切に想っているから。
明日の12時頃に北の港からこの島を出る予定だ。気を付けて来い。待ってる。
キラーよりーー