第4章 すれ違う心
キッドは自分のことを鼻で笑った。
「……」
キラーは驚いて目を丸くした。しかし、すぐに仮面の奥で目を細めた。
(キッド……)
ーーそれはおれも同じだ。愛する女1人、守れる自信がないのだから……。
「なァ、キラー……」
キッドはまた、キラーを呼んだ。
「もし……〈ひとつなぎの大秘宝〉を手に入れて、この島に帰って来ることができたら……」
ーーもし……自分が生きて帰って来れたら……。
「あいつは……ミーウはおれを見て、笑うと思うか?」
ーーもう一度、自分に笑いかけてくれるだろうか。自分の目を見て、あの太陽のような笑顔で笑ってくれるだろうか。おかえりと言ってくれるだろうか。隣に知らない男がいたとしても……。
キラーは仮面の中で、少しだけ目を細めた。
「たぶん……」
キラーは静かに言った。
「笑ってくれると思うぞ。キッド」
+