第37章 〈偉大なる航路〉
「海図通りの場所を指したか?」
クロッカスは腕組みをして、ミーウの〈記録指針〉を見た。
「はい、大丈夫です!」
ミーウはにこりと笑った。
「お前は……」
「?」
クロッカスは昔を懐かしむように笑った。ミーウとある人の影が重なる。
「若い頃のシェルミーにそっくりだな」
「そ、うなんですか……?」
ミーウは頬に手を当てた。
「ああ、そういうところもそっくりだ」
「……そう、なんだ……」
ミーウは嬉しそうに笑った。
「ミーウ、出発するぞ!」
「はーい! あ、そうだ」
スレイジに呼ばれてミーウは船に乗ろうとしたが、何かを思い出してクロッカスを振り向いた。
「クロッカスさん、これ」
「?」
ミーウはクロッカスに手紙を渡した。
「亡くなる前の祖母が書いた……手紙です」
「!?」
ミーウは辛そうに笑った。
「自分に何かあった時のために、あらかじめお世話になった人たちに……書いていたらしいんです」
「……」
クロッカスはミーウから、シェルミーの手紙を受け取った。
「実は、祖母は……殺されたんです」
「!? 殺された!?」
クロッカスは眉間に皺を寄せた。
「この海にいる海賊に……」
「そう、なのか……」
クロッカスはシェルミーからの手紙を見た。
「……シェルミー……」
そして、涙を流した。
「ミーウ」
クロッカスは顔を上げた。