第37章 〈偉大なる航路〉
ミーウとアユナは船から甲板に出た。
「ミーウ、あったか?」
「うん!」
ミーウは柵に近寄り、手に握った〈記録指針〉を“双子岬”にいるみんなに見せた。
「お、あったか」
クロッカスはその様子を見て微笑んだ。
ミーウとアユナは船から飛び降りた。ミーウは早速、海図の通りに指針を合わせようと椅子に座った。
「クロッカスさん」
「ん?」
アユナはクロッカスにずっと聞きたかったことを聞いた。
「あの……わたしたちの前に、ワニの船首の派手な船がここを通りませんでしたか?」
「ワニの船首?」
クロッカスは顎に手を当てて、そのような船が通ったか思い出そうとした。しかし……。
「すまんな、覚えてない」
「そうですか……」
アユナは目を伏せた。
「少し前まで、わしはラブーンの中にいたから……その間に通り過ぎたのかもしれん」
「そう……ですか……」
アユナは心配そうに、海を見つめた。
「……アユナ」
そんなアユナの後ろから、ケイトが声をかけた。
「心配するな。きっと、大丈夫だ」
「うん……」
ーきっと、彼らもこの海にいるだろう。ーーそう信じることにした。
「……そろそろよかろう。“記録”がたまったはずだ」
「はい!」
ミーウは左腕に着けた〈記録指針〉を見た。