第37章 〈偉大なる航路〉
「ミーウ、見つかった?」
「まだー」
ミーウとアユナは船の倉庫の中で、これからの航海にとって、鍵になるものを探している。
「うーん、ここら辺にあった気がするんだけど……」
ミーウは少し埃が被った棚の中に手を伸ばした。
「うーん……あ!」
「あった?」
他の棚を探していたアユナがミーウの方を見た。
「見て見て、アユナ! これ、小さい時のわたしよ!」
ミーウが取り出したのはミーウが小さい頃の写真だった。
「懐かしいー!」
「……」
アユナは無言でミーウを見た。
「……ごめん、それどころじゃなかったね」
「分かればよろしい」
ミーウとアユナはまた、“あるもの”を探し始めた。
「……あ、ミーウ!」
ミーウはアユナの方を見た。
「これのこと?」
「ん……あー!」
ミーウはアユナの方へ飛んで行った。
「そう、これ! 〈記録指針(ログポース)〉!」
アユナの手には〈記録指針〉があった。ーー〈記録指針〉とは、〈偉大なる航路〉を航海する上で、必要になる特殊なコンパスのことだ。通常の羅針盤(コンパス)とは違い、滞在地の“記録(ログ)”を貯めることで、次の目的地を指すようになる。
「少し埃被ってるけど……多分、使えるわね!」
ミーウは大事そうにアユナからそれを受け取った。