第37章 〈偉大なる航路〉
「このクジラは?」
「ああ」
クロッカスは人数分のお茶を運び、机の上に置きながら答えた。
「ラブーンという名前でな。昔、とある海賊団についてきたアイランドクジラだ」
「とある海賊団?」
ケイトは怪訝そうに聞いた。
「ああ」
クロッカスはラブーンを見た。
「その海賊たちは……〈偉大なる航路〉から逃げ出したという話だがな……」
「……」
「じゃあ、この頭のマークは?」
ミーウはラブーンの頭に描かれたお世辞にも上手いとは言えない海賊旗を指差した。
「それは昨日、ここにやって来た小僧が描いて行った」
「小僧?」
ミーウはクロッカスを見た。
「麦わら帽子を被った不思議な少年だった。またここに来て、こいつと喧嘩をするそうだ」
「へー」
ー麦わら帽子の少年……。
「どんな子なんだろ……」
ミーウは〈偉大なる航路〉の海を見つめた。
ーその子に……会ってみたい……。
「その子がいる海賊団はどの島に行ったんですか?」
ミーウはクロッカスがお茶と一緒に持って来てくれた地図広げた。
「確か……ウイスキーピークを選んでおった」
「……ウイスキーピーク……」
ミーウは口元に指を当てて、うーんと悩んだ。