第4章 すれ違う心
ミーウと一方的だが別れたキッドは街から少し遠い場所にある自分の家に着いた。キラーと共に10年以上住んだ家だ。ーーキッドとキラーはお互いに生まれた時から両親がいない孤児だった。
「遅かったな、キッド」
キッドは目線を上げた。視線の先にはお気に入りの上着を着ていないタンクトップ姿のキラーがいた。彼は2段ベッドの上段に腰掛けている。
「ちゃんとミーウに話せたか?」
キラーはキッドよりも随分前に帰って来て、明日の準備を済ませていた。
「あァ、まァな」
キッドは曖昧に返事をした。
「……そうか」
キラーは少しだけ顔を曇らせた。
(……この様子じゃ……ちゃんと話せてないみたいだな)
ーーもしかしたら、ミーウが誤解をしているかもしれない。キラーはそう思った。
キッドもキラーもその後しばらくの間、黙っていた。
沈黙が辛くなったキラーはふと、窓の外を見た。
「月が……綺麗だな」
その日はちょうど満月だった。キッドもキラーと同じように窓の外を見た。
「……なァ、キラー」
名前を呼ばれて、キラーはキッドを見た。
「おれは……弱ェ男だな……大切な友達1人、守れる自信がねェなんてよ……」