第37章 〈偉大なる航路〉
「ねえ、ミーウ」
島を出発してしばらくしてから、アユナは食堂でメロンパンを食べているミーウを呼んだ。
「ん? ……モグモグ……」
「〈偉大なる航路〉にはどうやって入るの?」
「……モグモグ……」
ミーウはアユナの質問に答えず、口を動かしている。
「ミーウ?」
「モグモグ……んー」
ミーウは動かしていた口を止めて、食べていたメロンパンをゴクンッと飲み込んだ。
「えっとね、山にぶつかればいいらしいよ?」
「……」
あっけらかんと答えたミーウを、アユナはじとーと目を細めて見た。
「ふざけてるの? ミーウ」
ミーウは首を振った。
「ううん、本気よ」
「……」
アユナは黙ってしまった。
「1度、行ったことがあるの」
「……え?」
アユナは目を見開いた。
「アユナと出会う前の話だけどね」
「そんな昔のこと……よく、覚えてるわね……」
「記憶力だけはいいからね」
ミーウは残りのメロンパンを口に放り込んだ。
「……モグモグ……」
「……」
また、メロンパンをゴクンッと飲み込むと、椅子から立ち上がって食堂にある棚から“あるもの”を取り出した。
「〈偉大なる航路〉の入り口は山なのよ」
ミーウは“あるもの”を食堂の机に広げて、アユナに見せた。ーーそれは“リヴァース・マウンテン”の海図だった。昔、〈偉大なる航路〉に入った時にミーウの祖母であるシェルミーたちが使ったものだった。