第36章 それぞれの旅へ
「♪〜幾千の出会い別れ全て〜♪」
ミーウは歌っているキッドを見ながら、これまでの旅を思い出した。
ー8年前、キッドたちと4人で旅に出ることを約束してから、海賊になろうと考え始めた。海軍じゃなくても、生きる道があるんだと思えた。それから時を経て、一緒の船で出航することはできなかつたけど、ライバルとして海に出て追いつくことができた。それまでに、たくさんの仲間と出会うことができた。
「……」
ー城にいたら見ることかできなかった景色をたくさん見ることができた。知らないことを知ることができた。
「♪〜絶え間なく注ぐ愛の名を 永遠と呼ぶことができたなら〜♪」
キッドはマイクを握り、ギターやベースの音やドラムのリズムと合わせながら歌っている。
ミーウはその姿を見て、口元に笑みを浮かべて目を細めた。
キッドは歌い終わり、ふーと息をついた。
「どうだ? 前よりは上手くなっただろ?」
得意げな顔でミーウにそう言っている彼は、8年前の少年と全く変わっていなかった。
「そうね。前より上手だった」
ニコッと笑って、ミーウは素直に答えた。
「……あァ」
素直に褒められて、キッドは頬を少し赤らめた。
「頭、そろそろ……」
そんな2人の後ろでは、キッド海賊団が楽器の片付けをしている。
「あァ」