第36章 それぞれの旅へ
ミーウは真っ直ぐな瞳でキッドを見つめた。
「歌うことくらい減るもんじゃないんだし、少しくらいダメなの?」
ミーウは首を傾げた。
「……」
ミーウは知らないが、キッドはミーウの首を傾げる仕草に滅法弱い。
「……わかったよ……。歌えばいいんだろ! 歌えば!」
キッドは半ばやり投げな気持ちで言った。
「やった!」
ミーウは嬉しそうに飛び跳ねている。
「……それで? ミーウ、歌って欲しい曲はあんのか?」
キッドはミーウを見て聞いた。
「うーん……」
ミーウは少し悩んでいるようだ。
「……何で悩んでんだよ」
「だって……」
ミーウは苦笑いをした。
「キッドが歌いそうな曲って……V系とか……バンドとか……激しそうなのしか思いつかないもん」
「なんだと!」
キッドは顔を髪の毛の色と同じくらい真っ赤にして、ミーウに殴りかかろうとしたが、キラーに止められた。
「キッド、何をしてる。ミーウは怪我人なんだ。それに、命の恩人だろ。殴ってどうするんだ?」
「……」
キッドはキラーを睨んだ。そして、咳を1つして口を開いた。
「……じゃァ、おれの十八番を歌ってやるよ」
「え、ほんと!?」
ミーウは目をキラキラと輝かせた。