第36章 それぞれの旅へ
ミーウは歌い終わった後、目を開いてキッドを見た。
「キッド、どうだった?」
ミーウは少し得意気に笑った。
キッドはその笑顔を見て、ふっと穏やかに笑った。そして、ミーウの頭に手を置くと、髪の毛をわしゃわしゃと撫でた。
ミーウは少しだけムッとして、キッドを上目遣いに見た。
「キッド、何するのよ! せっかく結んだのに……」
ミーウは少し怒ったように言った。
「悪ィ悪ィ。お前の頭、ちょうどいい位置にあるからいじりやすいんだよ」
キッドは笑った。
「な!?」
「ありがとな。ミーウ」
キッドはそう言って、船に乗って立ち去ろうとした。
「待って!」
しかし、そんなキッドの腕をミーウが掴んだ。
「……なんだよ……。まだ何かあるのか?」
キッドは少し眉を寄せて、ミーウに聞いた。
「うん!」
ミーウは元気よく頷いた。
「キッド、お礼の歌を歌ってよ」
「……はァ!?」
キッドは今までにないくらいに驚いて声を荒げた。
「お前……何言い出すんだよ! おれが歌なんか、歌うわけねェだろ!」
キッドはそう言って立ち去ろうとしたが、ミーウは手を離す気配が全くない。
「ミーウ……」
「歌ってもらったら、歌って返さないとダメなの!」