第36章 それぞれの旅へ
キッドはミーウを見ながら言った。
「キッド……残念だけど、わたしたちは今日はこの島を出るのはやめるわ」
ミーウは肩をすくめて言った。
キッドは驚きのあまりに目を見開いた。
「……何でだよ……。準備できる期間も、十分あったはずだ! 何で……今日出航しないんだよ!」
ミーウはキッドの様子を見ながら、困ったように眉を下げた。
「まだ……食料とか日用品が十分確保できてないの。それに……みんなの体力も完全に戻ったわけじゃないから……」
ミーウはにこりと笑った。
「キッドたちからまた出遅れるけど……すぐに追いつくから、心配しなくても大丈夫だよ」
ミーウは微笑んだ。
「……べ、別に……心配してるわけじゃねェ……。そ、そういう予定じゃねェのかなって思っただけだ……」
ーー本当はほんの少しだけ、ミーウたちと共に海に出たいと思っていたが……そんなこと、死んでも言えなかった。
(ミーウ……)
ー何で……おれは……。
(今日、お前たちが出航しないことを怒ったんだろうな……)
ーーキッドは自分の気持ちがよくわからなかった。
「キッド」
ミーウは自問自答しているキッドを見た。
「何だ?」
「次、会えるのがいつになるかはわからないけど……その時も、わたしが勝つから」