第36章 それぞれの旅へ
「大丈夫だよ。わたしたちはキッドとキラーに会いに来ただけなんだから」
「キッドの頭はおれらの船長だぞ! そんな人をお前の前に易々と出すわけにはいかない!」
動揺しながらも、部下たちはミーウの言葉に反論し続けている。
「わたしたち、本当に何もしないから。この船の出航の邪魔をしに来たわけじゃないから……」
「いくら言っても、ダメなものはダメだ!」
両者なかなか引かず、睨み合いが続いた。
「お願いだから、キッドとキラーに会わせて!」
「ダメだ!」
ミーウと部下たちがにらめっこをしていると、キッドとキラーが船の上から飛び降りて来た。
「おい、そこまでだ。それ以上続けるな。下がれ」
「頭!」
「でも……」
「大丈夫だ」
「……」
キッドの言葉で部下たちは渋々、キッドとキラーの後ろに下がった。
「ん? どうした?」
そんな中、船医が何か考え事をしているのを1人の部下が見つけた。
「いや……ミーウとアユナってどこかで聞いたことがあるような気がしてな……」
そんなことなど露知らず、キッドとキラーはミーウとアユナと向かい合った。
「……ミーウ、どうしてここに来んたんだ?」
「キッド海賊団の見送りに来たのよ」
ミーウは当たり前のことのように言った。
「海賊が他の海賊の見送りに来るなんて話、聞いたことねェぞ」
そう言いながらも、キッドはふっと嬉しそうに笑った。
「お前たちも今日中にこの島を出るんだろ? ログは十分溜まってるはずだ」