第36章 それぞれの旅へ
「キッド」
キラーはキッドの部屋の外から、キッドを呼んだ。
「……何だ?」
部屋の中から返事が返ってくる。
「支度できたか?」
「あァ、もうとっくにな」
キッドは部屋から出て来て、入り口に立っていたキラーを見た。
「荷物は?」
「運ばせてる。もうそろそろ出発できるぞ」
キッドはそれを聞き、満足そうに笑った。
「いよいよか……〈偉大なる航路〉」
「ああ」
キッドとキラーは窓の外から海を眺めた。
「キッドの頭ー!」
そんな時、部下の1人がキッドを呼びに来た。
「どうした? こんな忙しい時に。荷物に何かあったのか?」
部下は急いで来たのか、息がだいぶあがっている。
「に、荷物は全部運びました。そういう類のことじゃないんですよ!」
「じゃあ、何があった……」
(また、賞金稼ぎの襲来か?)
キラーは一瞬、そう思った。
部下は息を整えてから、叫ぶように声を出した。
「キ、キルリレ……“秒殺の女帝”キルリレ・ミーウが……来たんですよ!」
「……何だと? ミーウ?」
キッドはその名を聞いた途端、甲板に急いだ。
甲板に行くと、船の下を見た。そこには、ミーウとアユナをキッド海賊団が囲んで、ビビりながら攻撃するかどうするかを躊躇している様子が伺えた。