第36章 それぞれの旅へ
(憧れてたのかな)
ー自分のように決められた道を進むのではなく、自分の手で自分の道を切り開いて、自分を信じて真っ直ぐ進んで行くと決めたその意志に。ーーだから、ミーウはキッドに憧れて海に出ると言い張ったのだ。もちろん、キッドを倒すためと言うのも嘘ではない。
ミーウはそう思い、ふっと柔らかく微笑んだ。
「キッド」
キッドは軽く眉を寄せた。
「何だ……?」
「私はキッドを馬鹿にしてるわけじゃないよ」
ミーウは優しい瞳をしていたが、表情は真剣そのものだった。
「ただ……キッドに死んで欲しくない……。死なないとわかっていても、予想外の敵が現れたら……キッドだって、勝てないかもしれない。例えば……七武海とか、運が悪いと……海軍大将と出会す可能性だって、十分考えられる。予測できないことが起こる可能性もある。これから先、わたしたちが進む海は……この世で最も偉大な海〈偉大なる航路〉なんだから」
ミーウはキッドの赤い瞳を見つめながら話した。
「それに敵だって強くなる。キッドは確かに強いと思う。懸賞金も超新星にしては高い。だけど……まだまだなんじゃないかなって思った……」
ミーウは顔を俯かせた。
「わたしも人の事は言えないけどね」