第36章 それぞれの旅へ
ミーウは素直に頷いた。
「……今のおれじゃ……〈偉大なる航路〉を進んで行くのは無理だと、そう言いたいのか?」
「うーん……」
ミーウは顎の下に手を置いて考えた。
「無理ってわけじゃないけど……死にそうになることが多いと思う」
ミーウは至って真剣に答えた。
ーーキッドの実力なら、〈偉大なる航路〉の前半はなんとか乗り切ることはできると思う。予想外の事態に遭わなければの話だが。
「……ミーウ」
キッドは低く唸るような声を出した。
「お前は……おれをバカにしたいのか!」
キッドはミーウの胸ぐらを掴んで怒鳴った。
ミーウはその行動に対して、目を丸くさせた。
「いいか、ミーウ! 〈ひとつなぎの大秘宝〉を手に入れるのは、このおれだ! おれは〈偉大なる航路〉で死ぬような男じゃない! 死にそうになったとしても、地獄の底から這いつくばって生き返ってやる! わかったか!」
「……」
ミーウはキッドの剣幕に呆然としていた。
「……ふふふ」
しかし、すぐに笑みをこぼした。
「……何がおかしい」
「ん? いや、スゴいなって思っただけだよ。やっぱり……」
ーやっぱり、キッドは少し違う。今まで出会った人たちの仲で1番自分をしっかり持っていて、目標に向かって真っ直ぐに進むことができる。だから……。