第36章 それぞれの旅へ
「ミーウ、ちょっと待て」
長々とキッドの戦いの癖やダメなところを話し始めたミーウをキッドは呆気に取られて見ていたが、我に返って止めた。
「ミーウ……お前は何がしたいんだ……?」
「何って……キッドに言いたいことを言ってるだけなんだけど……」
「それはわかるが……どうして敵であるおれに、そんなことを言うんだ?」
「……」
ミーウは俯いた。
(確かに……)
ー確かにミーウが敵であるキッドに対して、戦いのアドバイスをするのはおかしいことだ。だが……。
「だって……」
「?」
「だって! 今のままのキッドじゃ、〈偉大なる航路〉に行った時に殺されちゃうよ!」
「!?」
キッドはとてもびっくりしてミーウを見た。
「キッドは無駄な攻撃が多すぎるよ……。体力と能力でそれを補っているとは言っても、無駄なことをすればそれだけ自分が危ない目に会うことも多くなるし……」
ーこれから先の海はあまくない。
「それに、相手に隙を見せれば……その隙を突かれて倒される……」
ー自分たちが進むのは最果ての島“ラフテル”に繋がる海だ。たくさんの海賊と海軍がいる。
「それに……」
ミーウは泣きそうな顔で言った。
「キッドはわたしの友達だし……」
「!」
キッドは目を見開いた。しかし、すぐにいつもの目付きの悪い瞳に戻った。
「……だから……お前はおれのことを心配して、アドバイスをしたのか?」