第36章 それぞれの旅へ
「ミーウ」
ミーウが泣き止んで落ち着き、キッドの懐から隣に移動した時、キッドがミーウに声をかけた。
「どうしたの?」
ミーウは隣にいるキッドに顔を向けた。
「お前の言いたいことって……何だ?」
ーーそもそもミーウとキッドはお互いに言いたいことがあるから、わざわざミーウの仲間たちから離れた場所に来たのだ。キッドは言いたいことを言ったが、ミーウは泣いてしまったため、まだ言えていなかった。
「あ、あー……」
ミーウは少しに考えるように俯いてから、キッドを見た。
「キッド……」
その真剣で真っ直ぐな瞳にキッドは内心戸惑いながら、ミーウが話すのを待った。
「何振り構わず攻撃ばっかりしてたら、〈偉大なる航路〉に行った時にやられちゃうよ?」
「……は?」
キッドはさっきまでとは違い、キョトンとした様子でミーウを見た。
「キッドにはとってもいい能力があるから、それを使いたがるのはわかるけど……能力を使い過ぎると体力の消耗が激しいからほどほどにして、武器とか力技で戦うことも覚えた方がいいよ。強い相手だったら、能力を駆使して戦わないと負けちゃうから、どうしても使わないといけないけど……弱い相手に対してわざわざ能力を使ってたらキリが無いし、それに……」