第36章 それぞれの旅へ
キッドは昔のようにミーウを優しく抱き締めて、その涙が枯れるまでずっとそばにいた。
しばらくして、ミーウは落ち着いてきたのか涙も止まってきた。
その間も、ミーウの頭を優しく撫でる手は止まらないでいた。
「……キッド」
ミーウはキッドに抱きついたまま、キッドの名前を呼んだ。
「どうした? なんかあったか?」
ミーウは黙って首を振った。
「?」
「ありがとう、キッド」
ミーウはキッドの目を見て言った。
「……あァ」
ーこんなことで喜んでもらえるのなら……。
そんなことは死んでも言えないが……。
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