第35章 夕焼けの意味
ーえ……。
ーミーウ! 聞いてはダメ!
あの人は必死に叫んだが、ミーウには聞こえなかった。
ーお前らは生まれてきてはいけないんだ。生きていてはいけないんだ。お前らの手は……生まれた時から血の色で染まっている。この意味がわかるか?
ー……。
ーお前らの先祖はたくさんの人を殺した。それにも関わらず、罰せられなかった。人殺しをしたのに、だ。まあ、権力者だしな。仕方ねェのはわかるが。それでも、何も気にせず悠々と暮らしている。最低だな。
ー……。
ーまあ、つまりは……穢れた命ってことだ。その血を受け継ぐ人間、全てがな!
ー!
ミーウは目を見開いたーー
「!」
ミーウは閉じていた瞳を見開いた。そして、自分の手を見つめた。
ー血に……染まった手……。
「嫌だ……」
ーそんなの信じたくない。
ミーウの自分の手を握り締めた。
(嘘だ……)
ーあんな奴の言うことなんか、誰が信じてやるもんか。
ミーウは海を見た。
「……ねェ……」
ー会いたいよ……。
ミーウの頬を再び涙が滑り落ちた。
「会いたいよ……」
ー会って、もう1度抱き締めて欲しい。もう1度名前を呼んで欲しい。もう1度……一緒に話したい。
「会いたい。会いたいよ……」
ーおばあ様……。