第35章 夕焼けの意味
ミーウは膝を抱えて、その間に顔を埋めた。
「ねェ……」
(約束したじゃん)
ーわたしが勝てるようになるまで生きてるって……
「約束、したじゃん……」
ミーウはまた泣いた。ーー今日1日だけで何回泣いたのだろう。
ミーウが泣いていると、ふいに背中に温もりを感じた。
「はァ……やっと、はァ、見つけた」
「キッド?」
ミーウは顔を上げて、後ろを向いた。
「……はァ、勝手に、どっか行くんじゃねェよ! ……心配、するじゃねェかよ!」
ーミーウ、また心配かけるようなことして! ダメじゃない。
「……っ」
ミーウはあの人の言葉を思い出して、また泣きそうな顔をした。
「ミーウ?」
キッドはミーウの顔を覗き込んだ。
「っ、ごめ、んなさい」
「ミーウ!?」
キッドはミーウが突然泣き出したことで、凄く慌ててしまった。
「おい、大丈夫か!? お、落ち着け! とりあえず、落ち着け!」
キッドは慌てながらも、ミーウを落ち着かせようとしていた。
(落ち着け……落ち着け……)
ーーついでに、自分も。
キッドは落ち着くために、ふーと息を吐き出した。
「ミーウ」
キッドは優しくミーウの名前を呼んだ。
「おれは……お前が何で泣いているのかわからない……だけど……」