第35章 夕焼けの意味
「太陽ってのは1日中、人のために地上を照らしてるだろ?」
ミーウは頷いた。
「そういうとこは無茶するとこや自分を後回しにするとこに似てんな」
キッドはそう口にした。
「それで、1日の終わりに……もうすぐ陰に隠れて休むことができる、そう思って、最後の最後に本当に少しだけ、気が緩むんだ」
ミーウはまばたきをした。
「太陽がとても優しくて、人のことが大好きだから、あの夕陽は赤く、黄昏のときに空は真紅に染まるんだ」
「……」
「そんなとこが似てる。だから、お前の瞳は夕焼けの色だ」
「……っ……」
ミーウは泣きそうになるのを堪えた。
ーーミーウの瞳が紅い理由。それは……ミーウの先祖が犯した咎の色。先祖の手を染めた鮮血の、決して消えない罪業の証。ーー罪深いミーウの身。背負うものが絶え間なく心にのしかかり、癒えない傷が膿んで血を流し常に痛む。本来ならば、生きて産まれてくることなど許されない、これは穢れた命だ。ーーだけど……。
ー太陽がとても優しくて、人のことが大好きだから、あの夕陽は赤く、黄昏のときに空は真紅に染まるんだ。
ーそんなとこが似てる。だから、お前の瞳は夕焼けの色だ。
「……っ……」
ミーウの頬を涙がつたった。