第35章 夕焼けの意味
キッドはミーウの紅い瞳をじっと見つめながら、穏やかで優しい顔で笑った。そして、そっと自分の指でミーウの涙を拭った。
「お前、島にいた時からずっと無理してきただろ?」
キッドは涙を拭った方とは逆の手で、ミーウの髪の毛をといた。
「……」
「自分のことは後回しで人のことばっかり心配してたしよー」
「……」
ミーウは黙って、キッドの言葉を聞いた。
「……優しいし、あったけェし……スゲェ強いよな」
「……っ」
「だけど……強がり過ぎなんだよ」
「!」
ミーウは思わず俯いた。
「1人で抱え込むなって言っただろ?」
「……」
ミーウは顔を俯かせたまま、キッドの方を見ようとしない。
キッドは短く息を吐いて口を開いた。
ミーウはキッドを見上げた。まだ瞳が潤んでいる。
「そういうとこが夕焼けに似てるんだよ」
「?」
「て言うか、夕焼けより太陽の方が似てるな」
ミーウは首を傾げた。
「そもそも、何で太陽が赤くなるの? 晴れた日の昼間は、どこまでも突き抜けるような青さで。夜の空は、すべてを覆うような重く暗い藍色で。青と藍の狭間だったら、もっと寒々しい色になるんじゃないの?」
キッドはその言葉を聞き、自分を見上げているミーウを見た。