第35章 夕焼けの意味
ーー優しい、色だと。夕焼けの色だと、キッドは。あの夕陽は本当に優しくて、この瞳もだから優しい色なのだと。ーー決して消えない罪が、赦されたと錯覚してしまいそうだった。
ミーウは涙を拭った。だけど、拭っても拭っても涙は止まる様子がない。
その様子を見ていたキッドはミーウを優しく包み込んで、小さい子供にするように背中を撫でた。
「ミーウ、おれは……」
キッドは少しの間、目を閉じて、それからゆっくり開いた。
「お前が何でそんな風に泣くのかはわかんねェが、泣きたいならちゃんと泣け」
(ちゃんと泣いて、その涙がなくなるまで……)
「おれがずっと傍にいてやるから」
キッドはミーウの頬を包んで顔を上げさせ、その瞳を見つめた。
「昔、約束しただろ?」
ミーウの瞳にひびが入ったように見えた。
「我慢すんな」
ミーウの瞳が音をたてて割れた。
その瞬間、ミーウは線が切れたようにまた泣き出した。
「それでいいんだよ」
(ちゃんと泣け。ミーウ)