第35章 夕焼けの意味
ミーウはキッドの背中に手を回して抱きついた。
「ミ、ミーウ!? おい、さすがにそれは……」
そこまで言って、キッドは息をふーと吐いた。そして、未だに泣いているミーウの頭を壊れ物を扱うかのように撫でた。
「……ミーウ。おれ、お前にとって何か嫌なことを言ったか?」
キッドはミーウに優しく聞いた。
ミーウは首を横に振った。
「じゃァ、何で泣いてんだよ。言ってくれねェとわかんねェって、昔言っただろ?」
キッドはミーウを包み込むようにして、右手をミーウの背中に回し、左手でミーウの頭を撫でた。
「……キッド、が……」
ミーウは涙声で答えた。
「おれが?」
「優しい言葉を、言って、くれたから……ずっと、言って欲しかった言葉を、言ってくれたから、嬉しくて、泣いたの」
「……」
途切れ途切れに紡がれた言葉に、キッドは目を丸くした。
「……おれ、何か言ったか?」
ミーウは頷いた。
「……わたしの瞳が……夕焼けの色、だって、言ってくれた」
「……」
キッドはキョトンとした顔をした。
「お前の瞳の色は……他にどんな色になるんだ?」
「……え?」
ミーウはそれを聞いて、少しずつ涙で濡れた顔を上に上げた。顔を上げると、キッドの顔が近くにあった。