第35章 夕焼けの意味
「……何だよ」
「……笑わないでね? なんか……」
ミーウは上に広がる青空を見て口を開いた。
「……久し振りの口喧嘩が……嬉しいって言うか、楽しいって言うか……なんかそんな風に思えたの」
「……」
キッドはミーウの言葉を黙って聞いていた。
「……島にいた時、何かあるとキッドと口喧嘩して、その度にアユナとキラーに正座させられて怒られて……」
「……」
「でも……それが楽しかったんだな~って思って……」
ミーウの言葉を聞き、キッドは起き上がった。
「キッド?」
ミーウも起き上がる。すると、キッドはミーウを抱き上げて、自分の膝の上に乗せた。
「え、キッド?」
「悪ィ、ミーウ」
そう言って、キッドはミーウの肩に顔を埋めた。
「キ、キッド? どうしたの?」
ミーウはキッドの行動に体を硬くした。
「あ? 別に。ただ……」
ーただ、なんとなく抱き締めたくなっただけで……。そこに理由などなかった。
「そ、そうなの?」
ミーウは少し困ったように笑いながら、キッドの赤い髪の毛を撫でた。
「……おい、撫でんな」
「いいじゃん。減るもんでもないんだし」
ミーウはそう言って、自分の瞳とは少し色の違うキッドの赤い髪の毛に顔を埋めた。