第34章 月夜の悪戯の魔法
一方その頃、アユナはキラーと別れた後、自分の船に戻った。甲板に行くと、ケイトが座って待っていた。
「ケイト」
呼ばれた声に反応して、ケイトはアユナの方を向き、手招きをした。
アユナはその手招きに釣られ、ケイトの隣に腰を下ろした。
「おかえり」
「ただいま」
「それで、アユナ」
挨拶もほどほどに、ケイトは帰って来たばかりのアユナに少し意地の悪そうな笑みを浮かべて聞いた。
「何か進展はあったか?」
「え!?」
アユナはその質問に驚き過ぎて、座ったまま飛び上がった。
「し、進展……って、そんな……」
「なかったのか?」
「え、えっと」
アユナはさっきまであったことを思い出し、顔を真っ赤にした。
ケイトはニヤニヤと笑った。
「何かあったんだな?」
「……」
アユナは黙って頷いた。そして、その夜あったことを話した。ーー2人は日が昇るまで、ずっとお喋りをしていた。
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