第34章 月夜の悪戯の魔法
少ししてから、キラーは自分の船に着いた。船の中で、キッド海賊団の船員たちは凄く盛り上がっているようだった。
(さて……)
ーこいつらをどうしようか……。
そう思いながらキラーは船の中に入った。
船員たちはさっきまでの盛り上がりはどこへ行ってしまったのか、キラーが入って来た瞬間しーんと静まり返ってしまった。
「……今、帰ったぞ」
キラーは冷たい瞳で船員たちを見渡した。
「キ、キラーさん……」
「おれはお前らに聞きたいことがたくさんあるんだが? 特に、船医」
「す、すみませんでした!」
キラーが怒りを露にした瞬間、船員たちは一斉に床に土下座をした。もちろん、船医も一緒だ。
「あの、その、キラーさんの邪魔をしようとしたわけではなくてですね。その~」
「言い訳は聞きたくないんだが?」
口ごもりながらも弁解しようとした船員をキラーはこれでもかというくらいに睨んだ。
「い、言い訳じゃないですよ!」
「そうですよ!」
「おれたち、キラーさんとあの可愛いお嬢ちゃんが心配だっただけで……」
「可愛いお嬢ちゃんだと?」
キラーは仮面の中で眉間に皺を寄せて、青筋をたてた。
その様子に船員たちは慌てた。