第34章 月夜の悪戯の魔法
アユナは真っ赤にした顔で、キラーを見上げている。瞳は少し潤んでるように見える。
「……」
キラーは自分のしたことを後悔した。ーー平静を保つのが辛い。
「お前を……」
キラーは仮面の奥で目を細めて、愛しい目の前の少女に言った。
「……攫いたいと言ったのは……嘘じゃない」
「え……」
心臓の鼓動が早くなる。
「……」
キラーはゆっくりとアユナから離れた。
「次に会った時は……」
ーお前を奪いに来る。
「……」
アユナは潤んだ瞳でキラーを見つめた。
「じゃあな。また会おう」
キラーはまたアユナを力強く抱き締めて、自分の船の方へ走って帰って行った。
「……」
海風が吹いて、少しだけ肌寒い。
「……また、会おうね。キラー」
(次はあなたに伝えたいことがあるの)
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