第4章 すれ違う心
「ちょっと待ってよ! 質問に答え……」
「いいから! 手ェ出せ!」
「……」
ミーウはキッドの気迫に押され、無言で右手を出した。
キッドはその小さな手のひらに、小さな紙切れを乗せた。
「……これ……」
手の上に置かれた白くて小さい紙を見つめて、ミーウが呟いた。
「ビブルカードだ」
キッドは淡々と答える。
「……」
キッドが言っている間も、ミーウは手のひらに乗せられたバブルカードをじっと見つめている。
「この前、街に〈偉大なる航路〉からやって来た商人が持って来たんだ。そいつから買った。これでおれがどの方向にいるのか、あとどのくらいの命なのかがわかる」
キッドはミーウの手に乗ったビブルカードを見つめた。
「この紙が消えたら……おれは死んだことになる。もし、おれが〈偉大なる航路〉で死んだら……所詮、おれはそこまでの奴だったってことだ」
ミーウは俯いたまま、顔を上げようとしない。
「だが、おれは死なねェ。絶対にな」
キッドはミーウの小さい頭に手を置いた。
「おれは……明日、出航するからもう行くぜ……ミーウ、今までありがとな。楽しかったぜ……じゃァな」