第34章 月夜の悪戯の魔法
「お前、少し疲れた顔をしているぞ」
「……」
トーダは悔しそうに唇を噛んだ。
ケイトはその様子を見て、またため息をついた。
「ミーウがあの状態だから、気持ちはわかるが……お前だって戦っただろう? ちゃんと休め。今日の見張りはわたしがやる」
「……わかった」
トーダは少し目を細めて考えたが、ケイトの言うことももっともなので船の中で休むことにした。
その様子を端から見ていたクユンも、トーダと共に船の中にいることにした。
2人は船で休むために中に入ろうとした時、トーダがケイトを振り返った。
「ケイト」
呼ばれたケイトはトーダを見た。
「……お前も無理するなよ」
ケイトはその言葉を聞いて、目を見開いた。
「お前だって、怪我人なんだ。少しは休めよ」
ケイトは驚いた様子で目を見開いた。
「お前……何でそれを……」
「隠しても無駄だ。アユナが帰って来たら、ちゃんと治してもらえ」
未だに有り得ないとでも言いたげな顔をしているケイトを残して、クユンとトーダは船の中に入って行った。
「トーダ」
船の廊下を歩いている時、クユンはトーダに少し驚いたような目を向けた。
「お前、よくケイトの怪我に気づいたな」